サイバーエージェント 藤田社長の本。
前に読んだ「藤田晋の仕事学」が面白かったので発売日に購入しました。
購入後しばらく積んでいたけど今年の夏も熱い夏になりそう(=忙しくなりそう)なので2日ほど前に取り出してきてえいやと読了しました。
(「藤田晋の仕事学」のレビューはこちら)
さて、この本はざっくり言うと「ノンフィクションドキュメンタリー」でしょうか。
藤田さんがサイバーエージェントをどの様に広告代理店からアメーバの立ち上げ & 安定化という形でメディア企業に転換していったかというストーリーがテンポ良く語られています。
デジタルサーカスも1999年に設立され、ほぼ同時期から長谷川も学生バイトとして業務に関わっていたのでその頃の自社の状況と照らし合わせて懐かしくストーリーを追いました。
その中でいくつか印象に残ったストーリーを。
参加メンバーを考えた場合、私が最も年下で実業のキャリアもありません。私は、最初に店に行って皆を待っていようと考え、会の当日、約束の時間よりもかなり前に店に到着しました。
それでも百戦錬磨の経営者たちは違いました。私が着いてお座敷に通されると、
「さあ、藤田君が来たから始めようか」
他の皆さんは全員すっかり座席に揃っていて、上座の真ん中の席がぽっかり空いていたのです。
怖っ!!と。
「かなり前」がどれぐらいなのかすごく気になりますが、自分も気をつけよう、と思いました。お客さまとの打ち上げとか!油断して遅刻している様ではとてもとても。
私が学生時代にアルバイトをしていた会社も、就職した会社も、どちらもリクルート出身者が作った会社だったので、自分の中でリクルートは血筋がつながっている親戚のような会社だと勝手に親近感を持っていました。
アラマ、と。
長谷川も友人がリクルートにいたりでいくつかリクルートのお仕事をさせて頂いています。
その中でリクルートのスタッフはその立場によらず、みんな自主性を持って高い視線で仕事をしており「なんだこの会社は。どうしたらこんなすごい会社になるんだ!?」と感銘を受け、だんだんそのカルチャーに感化される様になっていました。
サイバーエージェントも一緒にお仕事させて頂いた中ではスタッフのみなさん生き生きとハードに仕事をしていてまた違った意味で「良いなあ」と思ったのでした。
これ、サイバーエージェントの場合は強烈なカリスマとしての「藤田教」みたいなものだからなあ、とずっと思っていたのですが本書を読んで教主が教主なり得るのも実績あってのこと、と反省。鶏が先か卵が先かというのはありますが。
ページビュー数を伸ばすためにわざと不便な画面遷移を導入しようとした企画には、本末転倒だと激怒しました。
小手先のテクニックではなく、本当に便利で使いやすいサービスを作れば、ページビュー数は自然と伸びてくるはずなのです。
何よりも「素晴らしいプロダクトを生み出していけば何とかなるんだ」という意思を伝え続ける日々が続きました。
いいですよね。
実は長谷川が藤田さんのファンになったのもこれと同様の発言をされているのを目撃したからなのでした。
「まさにそうですよね」というしか無い、そして、そうであって欲しい1節です。
サイバーエージェントがどの様に「21世紀を代表する会社」になるか。楽しみですね。
などと言いつつ、自分もIT業界にいる身として、プログラム開発者として、会社の経営側の人間として「自分だって21世紀を代表する会社を創るよ!」と言わなければいけませんね。
という訳で、発売直後のTwitterでの好評ぶりや帯の「魂をゆさぶる衝撃の告白」によってハードルが上がってしまったこともあり、「あれ、こういう本なんだ。」という意外性も手伝って恒例のレーティングとしては★★★☆☆というところでしょうか。個人的には楽しく読めました。
ビジネス書やアメーバ成功の秘訣、みたいなものを期待する向きにはあまりお勧めできませんが、同じ頃に起業したであるとか今から起業するという方は楽しく読めるのではないかと思います。