ゾンビものの楽しみ方

「新 感染 ファイナル・エクスプレス」という映画をNETFLIXで観ました。

この映画は2016年の韓国の映画で、いわゆる「ゾンビもの」なのですが、公開当時に「良く出来てる」と自分のTwitterタイムラインで見かけて気になっていた作品でした。

(ネタバレを含みますのでご注意ください。)

で、その「新 感染 ファイナル・エクスプレス」を家で妻と見たのですが、妻は開始1時間弱で「わからん!」と脱落。

自分はその時点までは「ほうほう、なるほど。そういう状況ね。」と納得して見ていたのだけど、それは自分がゾンビもののお約束や展開を知っているからなんだなあ、と思いました。(韓国の文化ならではの台詞や登場人物の行動があり、そういうところは違和感がありましたが。)

ゾンビものってだいたいこんな感じで進行するんですよね。

  1. 突然街に巻き起こる混乱、街の人達がゾンビ化して主人公に襲いかかる。
  2. 徐々に明らかになるその世界でのゾンビのルール。
  3. 主人公を含む生き残った人々は数人の小さなグループでゾンビの中を生き残り、大きなグループに合流する。その過程で描かれる人間ドラマ。
  4. 感染を抑える薬の開発、人類の全滅、生存者の大きなグループへの合流あたりで物語の終わり

妻が脱落した「開始1時間弱」は上記で言うと1.が終わるあたり。ゾンビの身体能力が明らかになって、感染が拡大しているところ。

「新 感染 ファイナル・エクスプレス」はソウル発プサン行きのKTXの中で繰り広げられる物語なのですが、物語の登場人物の紹介、KTXに乗り込む主人公親子、そのKTXに乗り込む1人の感染者、ソウル駅にも感染者が現れて人を襲っている、というあたりです。

自分はゾンビものの「お約束」を知っていたので「ほうほう、なるほどなるほど。」「ソウルには感染が広がっているのね」と観ていたのですが、妻には何を見て何を情報として得ておけば良いのか分からない上に、前述した韓国の文化ならではの台詞や登場人物の行動があり、よくわからない上に人が人にかみつきまくっていて絵面も汚くて何も面白く無い!となったのでした。

確かに若干導入が長いなーとは思ったのですが、その後1人で最後まで観た感想としては「まあ良く出来てるな」と。

前述の「ゾンビのルール」ってだいたいこんな感じなんですね。

  • 何が起きるとゾンビ化するのか
  • それが起きてからゾンビ化までの時間
  • ゾンビの身体能力(速い/遅い、力が強い/弱い、知能がある/ない、五感の有無と強さ)
  • ゾンビならではのルール(光に弱い)などなど。

「新 感染 ファイナル・エクスプレス」の世界のゾンビは序盤に「人にかみつく」「かみつかれた人は数分でゾンビ化する」「力は生前と同じ」「速度は速い」あたりが判明し、物語が進むにつれて「知能は低い」「視覚と聴覚で対象を感知」「暗闇になると行動を止める」という感じでした。

この「ルールが判明していく」「そのルールを使って人がゾンビを制御する」というのが自分が感じるゾンビものの面白さの1つで、物語を作る上での「ご都合」のあたりを「ゾンビのルール」で面白くクリアできちゃうんですよね。

「新 感染 ファイナル・エクスプレス」では列車の区切りのスライドドアに鍵が無い問題に対して「ゾンビは知能が低い」というルールを設定して「ゾンビはスライドドアの開け方がわからないから、人間はスライドドアを閉じれば安全」とした。

そして列車が狭くてゾンビが充満すると人間は移動できない問題に対して「暗闇になると行動を止める」「ゾンビは音に反応する」というルールを設定して「列車がトンネルを走る間に」「自分の後方で音を鳴らしておびき寄せて」人間を移動させる。

列車という状況とゾンビのルールをうまく使って登場人物を動かしている。いや〜良く出来ていますね!ゾンビものの教科書どおりですね!という感じで。

感染からゾンビ化までの時間が人によって大分違っていて、ちょっと物語の都合を処理しきれていないなーというところもありましたが、これは「新 感染 ファイナル・エクスプレス」に限らず他の作品でもあるので許容した方がゾンビものを楽しめる気がします。

映画で短いということもあり深みが足りなくて「良かったけど、まず勧めるならウォーキング・デッド観てアイアムアヒーロー(まんが)かな」という感じではありますが、「まあ良く出来てる」と思いました。

★★★☆☆ という感じですかね!(久しぶりに星書いた)