電動キックボード ZERO9 を買って100kmほど走った

日本国内で公道を走行できる電動キックボード、ZERO9を買って100kmほど走ったのでそのインプレッションなどを。

購入の経緯

新型コロナウィルス感染症の影響でライフスタイルが変わり、徒歩10分前後の距離を週数回往復する生活が始まりました。

徒歩10分なんだから歩けば良いのですが、その道がすごいつまらない道なのでラクをしたい。移動のラクと言えば自転車ですが個人的に自転車がすごく嫌いなんですよね。乗ろうとするたびにタイヤの空気抜けてて1

そんな時ふとTwitterのタイムラインで電動キックボード買った話を見まして、ほほ〜なるほどそれはアリだな、ということで国内販売で公道を走れる電動キックボードを何種類か比較して、ZERO9を購入しました。

ZERO9
https://zero9.hop-on.jp

ZERO9 は比較した中でも比較的高スペックなのですが、スペックそのものよりナンバーを取得するのに必要な「販売証明書」が付いている、というのが一番の決め手でした。

販売証明書が無くてもナンバーを取れた例はある様なのですが、ナンバーの発行が自治体ベースで自治体によって扱いが違いそうであり、面倒なルートに入るとすごく面倒そうなのでその面倒を回避することを最重要視しての選択でした2

ZERO9はシンガポールの電動キックボードメーカー Falcon PEV が製造したものに、販売元の Hop-on! が国内でナンバー取得できる様に保安部品を取り付けて販売している製品の様です。

公道を走るのに必要なもの

ZERO9で公道を走るには以下が必要です。難しいことはなく、役所に行くのがちょっと面倒、ぐらいですね。逆に役所に行きさえすれば当日から乗れます。

原付免許

ZERO9は原付一種(最大50ccの原付)扱いなので原付免許が必要です。自分は自動車免許を持っていたので原付免許はそのオマケで付いていました。(みんな付いてるよね)

ヘルメット

原付、ということでヘルメットの着用が必要です。ZERO9 の購入時に販売元の Hop-on! で売っていたヘルメットを購入したのですが頭のサイズが合わず買いなおしました。前にカート用のヘルメット買ってヘルメットにはサイズがあることを知っていたのに調べず買ってしまったのが失敗。みなさんは購入前にサイズを調べましょう。

ナンバープレート

ZERO9 が届いたらまずナンバープレートを取得することになります。ナンバープレートの取得はお住まいの地域の役場3で、無料ですぐ発行してもらえます。

必要なものは自分の自治体は販売証明書と身分証明書でした4

自賠責保険

原付に乗るには自賠責保険への加入が必要です。加入はコンビニですることができます。PCやスマホから事前申込をしておき、店頭の端末で申込券を発券してレジで支払 & ステッカーなど受け取り、という流れでした5

事前申込の時にナンバープレートの情報が必要なので先にナンバープレートを取得するのがオススメです6

任意保険

自動車の場合、任意保険加入はほぼ必須ですが原付ってどうなんでしょうね…?

自分は自動車の任意保険に加入していたのでそれに「ファミリーバイク特約」を付けることで ZERO9 運転時の事故もカバーしています。

この特約は原付やバイクを対象としたものですが、これで ZERO9 もカバーされるかが不安だったのでオペレータの方に聞いてみました。

案の定(?)最初は「電動…キックボードですか?」という感じで、「調べるので折り返します」となったのですが、「原付として自治体からナンバー発行されているのであればカバーされます」というお返事でした。まあそうなりますよね。

自賠責保険は車体に対してかけるのですが、任意保険(のファミリーバイク特約)は人に対してかけるので「なるほど、2台目の電動キックボードを買っても保険は自賠責の分だけで良いな」と思いました。

で、どうなの?

公道走ってどうなの?というところですが、「便利 & 楽しい」「手での持ち運びは無理」「気楽度は自動車以上自転車未満」「万人にはお勧め出来ない」というところです。

便利 & 楽しい

ラクラク移動できるのでやっぱり便利です。目線が高く、リニアにパワー感があり、ブレーキもしっかり利くことで運転していてとても楽しめます。

航続距離がスペック上40kmですが、バッテリーが(表示器の目盛り上)半分ぐらいになるとだいぶ加速がマイルドになってくるので、自分はおそらく15km〜20kmぐらいで充電していると思います。

手での持ち運びは無理

ZERO9 の販売サイトとかを見ると折り畳んだ状態で片手に持って歩く爽やかな男性写真みたいなのが載っていますが、まあ無理です。よ〜く見ると手にすごく力が入っているのがわかると思います。

ZERO9 、18kgあるんですよね。折り畳んだ状態で持つ場合は完全に持ち上げるならフロントのバーを、フロントキャスターで転がすならキャリーハンドルを持つことになりますが、どちらもそれほど持ちやすくはなく、成人男性かつ週2回筋トレ行っている自分でも数m運ぶのが限界です。

20km/hが一番快適

ZERO9 、1速で20km/h、2速で30km/h、3速で40km/hという感じなのですが、1速の20km/h が一番快適です。

法定速度上限の30km/hでも走れるのですが車輪が小さいこともあり道によってはやや不安。片側2車線ぐらいの大きな道レベルの舗装であれば安心して走れます7

ガチの車両

自転車と比べると「ガチの車両」感は高く、一時停止とか一方通行は遵守することになります8。そのため、乗っている時の感覚は自転車よりは自動車に近く、カッチリと運転することになります。ウィンカーを出す必要もありますしね。

また、ZERO9は原付なので、一定の規模の交差点では「二段階右折」をする必要があります。自動車免許持ちのみなさんは勉強したであろうアレですが、自分はその存在以外はすべてを忘却しており ZERO9を買ってから勉強しなおしました。

意外とツライのが駐車場所です。原付なので自転車置き場に置けないんですよね。そしてバイク置き場は意外と少ない。お店とかで前輪ロック式の駐輪場があっても前輪が小さいのでロックがかからず駐められない。

そんな訳で自転車と比べるとやっぱり小回り効きにくいなーというところはあります。一方で、自動車と比べるとめっちゃ小回り効きます。なにしろ降りて電源を切れば歩行者であり、原付モードと歩行者モードの移行が極めて簡単なので一方通行に進入したければ歩行者モードになって歩くことができます。これは慣れるとすごく便利です。(でも、歩行者の邪魔にならない様にお行儀良くやらないとですね!)

万人にはお勧めできない

最後は難点なのですが、電動キックボードって自動車なんかと比べるとまだまだ市場が小さく、「買ってすぐ乗ってノートラブルで10年走る」というところまでは成熟していないと思います。

自分が購入した ZERO9 は購入時から附属品が壊れていたり、2〜3km走ったらウィンカーが動作しなくなったりしました。前者は走行に支障が無い部品だったので良いのですが、後者はガッカリしました。

こんな故障の際は販売元で修理して頂けるのですが、修理サポートがフットワーク軽くてとても助かりました9。自分は壊れた翌日にはクルマでZERO9を販売元に持ち込んで無償修理して頂きました10。やれやれ、と思って帰ったら実はホーンも鳴らなくなっていることに気付いて愕然。2日連続で販売元に持ち込むことになってしまいました。

1回目の修理では修理待ちは近くのマクドナルドでしたのですが、2回目の修理では無理を言って修理の様子を見学させて頂きました。修理の過程でいろいろ質問して構造を教えて頂けたので「これで次は自分で直そう」と思っていたのですが、その「次」がまたすぐに来ましてですね。

問題の箇所は配線の結合をしている場所なのですが、結合に使っているパーツがやや扱いが難しい様で作業精度が低いと断線する様です。この結合はウィンカー、ホーン、下部照明の3組あり最終的に3組とも断線しました。2回目の修理で構造を教えて頂けたので3回目の故障では結合パーツを除去してハンダ付けしてやりました。

脆弱な結合部分

それ以降80km〜90kmほど走っていますが断線は再発せず、その他の箇所も全く問題無く動作しています。

と言う訳で、現時点ではホンダやトヨタのクルマを買う気持ちで買ってはダメだなーと思っています。(自分が買った個体がまれに見るハズレ個体だった可能性もありますが…!なんか全体的に組み立て精度が低かったのかも、という気もしています。)

前述のとおり、モノはすごく良い & 楽しいので、修理を待ってのんびり使ったり、自分で直すのがイヤでない方にはオススメです!

と言う訳で、公道走行可能な電動キックボード、ZERO9 を買ったよ、というお話でした。トータルでは大変満足しています。お好きな方にはオススメです!!

  1. ZERO9買う過程でどうやら「虫ゴム」がダメになってるのでは、という説に行き着き、交換すれば抜けなくなるかもしれなかったけど時すでに遅しであった
  2. 前述の谷本さんのeXs1も購入時に依頼すると販売証明書を付けてくれるみたいですね
  3. 区役所、市役所、というのは体験談を見つけたのですが、実際の担当はわからず…ご自身で調査お願いします
  4. 印鑑も必要だったかな…今自治体のWeb見たけど書いてないな…
  5. 細かいことを言うとレジでの支払 & ステッカー受け取りの後にマルチコピー機で保険証明書を印刷する
  6. ナンバープレートが無くても申込できるのですが、その場合あとからナンバープレートの情報を郵送などで送る必要がある模様
  7. でもその規模になると法定速度が50km/hとかであり、クルマに申し訳ない感じになるんだよね
  8. 自転車も一時停止とか一方通行には従う必要があるのですが、一方通行には「自転車を除く」って書いてあることも多く、一時停止も…世の中のみなさん意識してないですよね。
  9. ここらへんは「成熟していない」の裏返しでもありますね〜。
  10. 修理は郵送でもやって頂けます。自分はすぐ修理して欲しかったので持ち込みました。